今年の車いすマラソンの見どころ

今年の大会の最大のポイントは「来年の車いすマラソン世界選手権の選考レースに指定された」こと。大分国際の日本人上位3人が世界選手権への挑戦権を得ることができ、その世界選手権で4位以内に入れば2020年の東京パラリンピックマラソン日本代表に推薦される。つまり今年の大分国際は再来年の東京パラリンピックへと直接つながる大会になったのだ。
一昨年の大会で史上初めて最も障害の軽いクラスの男子で日本人選手が1-2フィニッシュを決めたように日本人選手のレベルはここ数年で向上し、その層の厚さは世界屈指のレベルを誇る。今年の大会もマラソンニッポンの屋台骨を支えるトップクラスの選手が揃ってエントリー。世界の強豪と真っ向勝負できるメンバーが大分に集まった。
台風接近のため37回目の歴史で初めて中止となった昨年の大会。この日のために準備を進めてきた選手、関係者にとって無常の悪天候となってしまった。あれから1年。2年越しの思いをかける車いすマラソン単独大会として世界最大級の規模を誇る大会がまもなく始まる。
スタートする。

日本人3位以内を巡る争いは

一昨年の大会で初優勝。10年ぶり2人目の日本人チャンピオン(もっとも障害の軽いクラス)となった山本浩之(福岡)。今年52歳になった大ベテランだが今年2月の東京マラソンで優勝するなど、今なお日本トップレベルの走りを続けている。大分国際のコースは出場26回で過去2位6回、3位1回、と抜群の相性を示す。「コースの高低もスパートポイントも全て頭に入っている」と語る大ベテランは今年も頂点を視界にとらえてスタートラインに並ぶ。
一昨年の大会、2回目の出場で2位に入った24歳の鈴木朋樹(千葉)は世界と対等に戦えるスピードにさらに磨きをかけた。今年に入って400m、800mと次々と日本記録を更新。世界の主流になりつつある「スプリント力のあるマラソンランナー」という意味では日本No.1の選手だ。2020年東京パラリンピックでの大ブレイクが予感されるスピードランナーがフルマラソン初優勝を大分の地で成し遂げることができるか。
42.195kmという距離にこだわりを持ち、フルマラソンという種目で世界と戦う強い決意を持つランナーが一昨年の大会4位の西田宗城(大阪)。今年も世界のフルマラソンを転戦し、4月のパリマラソンでは優勝という結果を出した。大分国際は15年、16年と2大会連続の4位。「大分で過去最高の順位を出せば日本人3位以内という結果もついてくる」と語る34歳は、「俺がレースの主導権を握って集団をコントロールする」と今年こそはの強い思いで大会に臨む。
一昨年の大分国際のハーフマラソンを大会記録で制した渡辺勝(福岡)は去年の東京マラソンでマラソン初優勝を飾っており実力は十分。アジアパラ日本代表のスピードランナーが大分国際のフルマラソン初出場で一発を狙う。
アジアパラ代表組では久保恒造(北海道)が好調を維持。ソチパラリンピックバイアスロンの銅メダリストも最近は陸上競技に専念し、リオパラリンピックではマラソン日本代表となった。今年に入っても北海道のハーフマラソンでも優勝するなど、コンスタントに結果を残している。16回目の出場となる大分国際の最高成績は5位。今回はそれ以上の結果を出すと意気込んでいる。
この他にもマラソン日本記録保持者の洞ノ上浩太(福岡)。4度のパラリンピックマラソン日本代表経験のある47歳のベテラン副島正純(長崎)。地元選手で日本人車いすランナーのパイオニア廣道純(大分)。大分国際フルマラソン2回目の挑戦となる竹田出身、45歳の遅咲きランナー河室隆一(大分)なども虎視眈々上位を狙う。
今年の大分国際は過去最高レベルの日本人バトルになることは必至だ。
日本人3位以内を巡る争いは

日本勢に立ちはだかる世界の壁

一昨年の大会でまさかのクラッシュ。悪夢のリタイアとなったマルセル・フグ(スイス)。しかし今年もボストンマラソン優勝のほか、ロンドン、ベルリン、シカゴといった世界のビッグレースで2位に入るなどその実力は間違いなく世界トップレベルを維持している。一瞬で相手を置き去りにするスピードと集団内のコントロール力は日本人選手にとっては大きな脅威。過去6度優勝した大分のコースで再び輝くことができるか。
さらに過去3度優勝している実力者のエレンスト・ヴァンダイク(南アフリカ)や60歳になった大分国際優勝14回のレジェンド、ハインツ・フライ(スイス)などもエントリー。日本人選手の高い壁となりそうな強力なメンバーが揃った。

日本勢に立ちはだかる世界の壁
OBSでは大会の模様をテレビ、ラジオで完全実況生放送。解説にアテネとロンドンパラマラソン日本代表の花岡伸和さん。ゲスト解説に今年日本パラ陸連の会長に就任したスポーツジャーナリストの増田明美さんを迎えてお送りします。注目の大会をお見逃しなく。

OBSアナウンサー 吉田諭司
(文:OBSアナウンサー 吉田諭司)