第43回 大分国際車いすマラソン 見どころ

 パラリンピックイヤーの2024年。今年の大会にはパリを舞台に活躍した世界のトップアスリートが集結し、例年以上の豪華メンバーによる激しい戦いが繰り広げられそうだ。

 中でも最も障害の軽い男子のフルマラソンには、パリパラリンピックのメダリスト3人が再び集結。世界記録を視野に入れたハイスピードバトルが期待される。
 優勝候補筆頭はスイスのマルセル・フグ。去年の大会では2位の鈴木を6分以上突き放し、自らの世界記録に迫る好タイムで5連覇を達成するなど、大分のコースとは抜群の相性を誇る。パリパラリンピックでもその強さを見せつけ、リオ、東京に続く3連覇を達成。世界ナンバーワンの実力を大舞台で見せつけた。しかし3年前の東京大会では出場した全種目で金メダルを獲得し盤石の強さをアピールしたトラック種目において、パリでは3種目でまさかの敗北。雪辱の舞台ともなる大分で再び最高の輝きをつかみたい。
 日本勢の注目は、パリパラリンピックのマラソン銅メダリスト鈴木朋樹。この種目で日本勢として2008年北京大会で銀メダルを獲得した笹原廣喜さん以来16年振りとなるメダルを獲得した鈴木。大きな成果を得て臨む今回の大分は「世界最高レベルのメンバーを相手に日本記録を狙う」と鼻息が荒い。
 パリパラリンピックの銀メダリストで中国の金華は大分国際に8年ぶりの参戦。パリでは1500mと800mでマルセル・フグを破り2冠に輝くなど、そのスピードは大分の高速コースにピタリとはまる可能性が大きい。去年初出場ながら3位に入った21歳の羅興伝、同じく去年初出場で5位に入った馬卓とともに、中国勢がダークホース的存在となる可能性は高い。
 この他にもパリパラリンピックマラソン8位入賞の吉田竜太や、パリの出場権を逃し世界のマラソンを転戦して力をつけた渡辺勝らが上位を狙う。

 女子の部は去年、大会新記録で初出場初優勝を果たしたスイスのカテリーヌ・デブルナーが2連覇を狙う。デブルナーはパリパラリンピックのマラソンで金メダルを獲得するなどパリではトラック種目と合わせて5冠を達成。世界記録保持者が更なる記録の更新を大分で狙う。
 イギリスの23歳、イーデン・レインボークーパーが大分に初出場。今年のボストンを1時間35分台の好タイムで初優勝を飾った新星は、大分でさらなる飛躍を誓う。
 この他、パリパラリンピックマラソン銅メダリストでアメリカのスザンナ・スカロニや国内の実力者土田和歌子、日本記録保持者の喜納翼らも虎視眈々。記録と結果の両面で楽しみなレースとなりそうだ。

 また今回の番組では障害の重いクラス、T51の出場選手にも注目する。なかでもフルマラソンの日本記録保持者である愛媛の井上聡が4年ぶりに出場しハーフマラソンのスタートラインに並ぶ。「自分たちの姿を見て、同じ障がいのある人が勇気を持ってくれれば」と話す井上の走りにも注目だ。

 今年は14の国と地域から14歳から98歳までフルマラソンに81人、ハーフマラソンに142人がエントリー。記録を目指す選手から完走を目指す選手まで、全ての選手が大きな決意を胸に17日の号砲を待つ。
 43回の歴史を重ねた今年の大会をOBSではテレビとラジオ、さらにBS-TBSを通じて全国に向けて放送。増田明美さんと花岡伸和さんのダブル解説で送る。新たな歴史が刻まれる今年の大会を、放送や沿道での応援を通じて多くの人に楽しんでもらいたい。

OBSアナウンサー 吉田諭司
(文責・実況担当:OBSアナウンサー 吉田諭司)

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